東京電力福島第1原子力発電所の事故処理に当たる作業員の多くが、被ばく量を測る放射線量計を携行していなかったことが分かったが、現場では実際にどのように作業が進められているのか。原発敷地内で数日間働き、自身も線量計を持たなかった東電社員の男性が毎日新聞の取材に応じ、作業実態の一端を明かした。原発復旧に携わる全作業員に線量計が行き渡らないのか。東京電力は31日夜、福島第1原発内に約5000台あった線量計が地震と津波で壊れて320台に激減し、チームで作業に当たる際に代表者1人だけに持たせていることを明らかにしたが、実際には震災当日の混乱で線量計が持ち出されたり、捨てられるケースも少なくなかった。原発では作業員が放射線管理区域から出る際、線量計を返却しなければならないが、3月11日の地震発生時はパニック状態となり多くの作業員が線量計を着けたまま逃げた。タービン建屋にいた作業員の男性は「線量計は東電の用意したかごに入れて外に出るが、そんなことはしなかった」と証言。東電関連会社の男性社員(40)も「そのまま帰宅した人が多かった。ゴミ箱に捨てられていた線量計もあったので回収したが、少ししか集まらなかった」と話す。問題が表面化したことで東電側は全員の線量計確保を目指すとしているが、放射線関連機器販売大手の「千代田テクノル」(本社・東京)によると、線量計の在庫はほとんどない状態という。【町田徳丈、日下部聡】
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